染の高孝、高橋孝之先生の紹介 2014年10月3日(金)~5日(日)に実施。

目白の街に金木犀の香るこの頃、今回は、「秋の創作きもの展」と題して、東京染め伝統工芸品のご紹介です。
高橋先生とは、1年半ほど前、着物編集者さんの紹介で、「近くで墨流しの取材をするので今から見に来ない?」といわれて先生の工房にお邪魔したのが最初でした。花想容と高橋先生の工房とは歩いて10分ほどの距離にありますが、そのようなきっかけがなければ行くことは無かったかもしれません。そこで、墨流し染めをはじめ、工房の得意とするいくつかの実演を見せていただき、こんなに近所に伝統工芸のすばらしい技術があるのだから、いつか紹介したいと思いました。
私の目的は墨流しの見学でしたが、私を魅了したのは、先生のギャラリーに掛けられていた一枚の着物でした。前衛画家の琳派の絵羽が飾ってあって、それは私が20年ほど前に古本市で5万円も出して買った画集に載っていた画家のものでした。これがどうしてここにあるのか訪ねると、この画家の一連の琳派の作品を染めたのは実は高橋先生で、たまたま一枚手元に残ったということでした。

高橋先生は現在、東京都の手描き友禅の伝統工芸士会の会長さんでもあり、数々の受賞暦を持ち、まさに東京友禅を代表する作家さんですが、そんな偉い人とは信じられないくらい気さくなお人柄です。
また先生の得意とする技法は、いわゆる一般に糸目糊を使って描く友禅というものともちょっと違い、手描き友禅ではありますが、手間のかかる作業の中に偶然性を取り入れて、表現に深みを持たせ、今まで見たことの無いものに昇華させています。今年の春に行われた染芸展(東京の染色作家が新作を競いあうコンクール展)においても、会場の入り口正面に高橋先生の受賞作品が飾られており、会場内のどの作品ともまったく違った存在感でした。一番先頭を走りながら、なおかつ常に新しいことを考えて作品作りをしている点で感銘を受けました。

先生の工房、染の高孝さんでは弟さんとお二人で作品作りをしています。(あと可愛いお弟子さんがいらっしゃいます。)弟さんは更紗の技法を担当しており、作品の中にはお二人が連携して作るものもあり、それが工房作品の幅の広さを生み出しています。
作品は、ほとんどが小紋で、お茶席などにふさわしい無地風のものもあれば、どう向き合っていいのかわからない芸術的なものまであります。それと名古屋帯ですが、花想容に日ごろ並べてある商品とはまったく違った次元と作風のものですので、きもの好きな方に是非ご覧いただきたいと思っております。これからの季節にちょうどよい羽織物に向く柄もいろいろあります。都合がつけば高橋先生もお越しいただくことになっていますので、お楽しみに。